ツムグログ

ご縁を紡ぐ人事の日々ログ 働き方/キャリア/多様性/地方の暮らし

内定辞退の仕方から見えるその人の本質 ~人間の本性は窮地にこそ表れる~

f:id:sho_trip:20160717222622j:plain

みなさんこんにちは!ショーゴ(@sho_trip)です。

毎年この時期になると人事の間でもちきりになる話題といえば『内定辞退』です。

その内定辞退の仕方は本当にその人の人間性が現れるもんだなぁ、と思ったので今回は【内定辞退の仕方から見える人間の本性】というテーマでまとめてみます。

それではどーぞ!

目次 

  1. 17年卒新卒採用の動向
  2. 『決める』時期に悩むこと
  3. 内定辞退をどう伝えますか?
  4. 本性は窮地にこそ表れる

17年卒新卒採用の動向

まずは、今現在(2016年7月)の2017年新卒採用の状況がどうなっているかを背景としてご紹介しますね。

7月1日時点の就職内定率は『79.8%』 と6月時点に比べ、約25%上昇。

このデータは昨年の7月1日時点と比べると約30%高い数値(前年50.6%)です。

 引用

at-jinji.jp

これは主に大企業が中心に所属している経団連が定めた『倫理憲章』における、新卒採用の選考解禁時期が、今年は6月解禁なのが、昨年は8月解禁だったのが影響していると思われます。

ということで、今年は6月に大企業も選考解禁していたこともあり、多くの学生がこの時期に内定を持っている状況となっています。

 

『決める』時期に悩むこと

就活におけるゴールは『内定をもらうこと』ではなく、仕事を通じて『自身のなりたい像を実現』するために、修練の場となる就職先を決めることです。

これからの時期は内定をもらった各企業から「いつ承諾してくれるの?」といったプッシュが入り、どこに就職しようか最終的に『決める』タイミングとなります。

 

この決めるタイミングで多くの就活生が悩むのですが、

僕が感じるのは就活支援をしていると毎年一部の人がここでの決断を誤り、

『選択を間違う』または『チャンスを逃す』結果になってしまうということです。

 

就活スタート時点より、たくさんの選択肢の中からエントリーする企業を決め、その中でも実際に選考を受ける企業を絞り、選考を進める中で「違うな」と思った企業を選考辞退し、と、これまでの中でも絞り込みを幾度となく行なってきているはずです。

 

そして、最終的に1社に絞るという段階が今の時期。

ここで決められずに迷走する人にはいくつか顕著な傾向があります。

ではここで、僕がこれまで見てきた中で

代表的な【失敗する企業選びあるある】をご紹介します。

 

1)『変動要素』を軸にして決めようとしている

2)今後「まだ良い会社に出会えるんじゃないか」と思っている

3)親や友人など、他人の意見に振り回される

 

◆『変動要素』を軸にして決めようとしている

変動要素=入社後に変わってしまう可能性がある要素

これを決め手に選ぶと、決め手がブレた瞬間に辞めたくなります。

●勤務地

「地元勤務だから~」これはかなり多い落とし穴ですね。

成長している企業であれば、いずれ県外・海外に事業展開を拡大します。

最初こそ地元かもしれませんが、数年後に転勤という可能性は全然あり得ます。

●給与・休日などの福利厚生

大切なことですが、決め手にするのはやめたほうがいいです。

会社には順調な時期もあれば、苦しい時期もあります。

苦しい時期には給与の一律ダウンや賞与の停止も当然あり得ます。

そしてその苦しい時期を招いたのは他でもない、自分を含む社員全員の責任。

そんな時に「給与が高いから入ったのにー」と言っているようでは続きません。

●先輩社員

これもよくありますねー。

「説明会や懇親会に来ていた先輩がかっこいいから」

あたり前です。人事は惹きの強い社員を選んでそういう場にアサインします。

そもそも大抵の場合、その人は上司になりません。

万が一上司でもその人もいつ辞めるかわかりません。

社長や人事の魅力に惹かれて、ならあまり変動はないので百歩譲ってアリですが。

 

◆今後「まだ良い会社に出会えるんじゃないか」と思っている

はい、これもダメなやつです。これ言い出したら就活はエンドレスです。

春にベンチャー企業見て、イイな!と思ったけど6月から大企業解禁だしー、

大企業解禁して、イイな!と思ったけど秋採用でもいい所あるかもだしー…

いわゆる人気企業はすぐに枠が埋まり、採用活動を終えていきます。

つまり、原則論として

『時期が遅くなればなるほど人気がない企業が残る』ということです。

散々引っ張った結果、内々定をすべて失い、結局最初に内々定をくれた企業が一番良かった・・・なんてことになっている人は本当に毎年良く見ます。

決める人は解禁前だろうと決めます。

決められない人はいつまでやろうと決まりません。

 

◆両親や友人など、他人の意見に振り回される

ベンチャーに行こうと思ったら、親に大企業にしろと反対された。

自分の可能性を試すため、県外へ出ようとしたら周囲に行かないでと言われた。 

これもよくあるパターンです。

自分の人生です。親や友人は結果責任を取ってくれません。

実際、親世代はまだ『大企業=安定』の神話を信じている人が多いですね。

もう、そんな時代じゃないから!

従業員の変なツイート一発で大企業も大揺れなご時世ですよ。

友人たちが「一緒にいようぜ」と言うから。

あのね、多分友人たちもそれぞれ転勤したりどっかに動くから!笑

これでもし行きたかったところを辞退して、その後妥協した会社に入り、友達は普通に転勤して居なくなったりしたら?

何のために地元に残ったんでしょうね。悲惨です。

 

こういった失敗する企業選びをしないために必要なもの、それは『軸』です。

軸は変動要素や他人依存ではなく、あくまで『自分がどうなりたいか』『自分が何をやりたい・成し得たいか』という【自分軸】であるべきです。

それで選んで失敗したとしてもそれは、完全に自分の責任ですしね。

 

最後の最後になってもまだ「A社は●●なところがひっかかるし、B社も●●が心配なんだよなー」『マイナス面の比較』をしている人がいますが、決める時は『プラス面』、自分にとってのメリットを比べて決めたほうがすっきり決められます。

だって、どんな会社にも懸念点やひっかかるところはあるものです。

ましてやまだ入社していないんですから、どんなに考えても想像の域を出ません。ある程度絞り込む上では構いませんが、最後2択になってからもそれをやっていては本当に決められないですね。

自分の軸を基準に、信念を持ってプラス面を見て決断するのが良いと考えます。

 

内定辞退をどう伝えますか?

そうした葛藤を経て、ついに1社に絞り込みました。

そうなれば他の企業には【内定辞退】を伝えなくてはなりませんね。

この内定辞退の仕方にその人の『人間性の本質』が現れます。

さて、あなたならどのように内定辞退を伝えますか?

 

 1)電話でアポを取り、人事に直接会って伝える

 2)電話で人事に伝える

 3)メールで伝える

 4)先輩社員と仲良くなっていたのでLINEで伝える

 5)サイレント(スルーする)

 

正直な人事の気持ちとしては2)がありがたいですね。

辞退された事実だけではなく、理由やどこに決めたのかなどを伺えると先々に繋がるデータにもなりますしね。

1)はやりすぎ感があるかな。直接来るってなったら「承諾しに来るんだ」と普通思うでしょうね。それで辞退だったらめちゃテンション下がりますし、そのために予定や面談場所を押さえたりと社内的な手続きをする必要もあるので。

3)は実際多いですが、ここが最低ラインですね。(決して良くはない。)「どうせ辞退するんだから、事実だけ伝わればいいじゃん。」というのは完全なる独りよがりさんです。

4)はノーコメントで 笑(いずれそういう時代になるのかもしれませんが…)

 

さて、問題は5)サイレント(一切何も連絡しない)です。

「何で連絡しないのか、人として理解できない!」と思われる方は多いでしょうが、結構いるんですよ。これが。

何でサイレントなのか、想像してみますと

●怖い

●めんどくさい

●叱られたくない

●どうせもう会わないし

・・・といった自分中心の理由なのかな、と。

要は【目の前のストレス回避】が一番の目的だと思われます。

 

当然ある程度時期が立てば企業側から連絡があったりするわけですが、連絡にも出ず、着信拒否をしたり、と、ほとぼりが過ぎ去るのを待つ・・・

それで大丈夫だと思っているんでしょうね。

 

しかし、よく考えてみてほしい。twitterのフォロー外しとはわけが違います。

就職活動で企業に伝えている情報は匿名ではなく、

実名で、大学名も住所も電話番号も全て企業側に伝わっています。

 

内定辞退した人が誰なのか、個人が特定されているということです。

例えば以下のようなこと、想像できていますか。

■人事と大学のキャリアセンターの人たちは時折呑みに行くような繋がりがある

■人事同士は業種関係なく、横のつながりを持っている

■人事は正式に内定辞退した人より、サイレントの人の方がよっぽど印象深く覚えてる

■社会に出た後も意外と世間は狭く、仕事で絡む可能性もある

 

僕が実際に経験・目撃した事例でこんなことがありまた。

★人事同士の飲み会

A社「B社さん、○○くんのことよろしくお願いしますねー!」

B社「ああ、○○くんですね。いやあ、採りたかったんだけどね。A社さんなら活躍できると思うのでよろしくお願いします!」

A社「え、○○くんからB社に行くって。だから辞退するって言われたんですけど」

B社「いやいや、A社に行くって言ってウチ辞退されましたよ」

A社・B社「・・・・」

C社「○○くんって、■■大学の?」

A社「はい、そうですよ」

C社「その人ならウチで内定承諾した人ですね。どうかしました?」

B社「え!そうなんですか?それが・・・(これまでの話)」

C社「ふーん。。そういう人なんですね。。本社に持ち帰って調べますわ」

 

★新入社員の挨拶回り

某人材系企業の営業担当より新入社員入社後の5月に「商談なんですけど、うちの新人も挨拶がてら一緒に回ってましてご一緒させてください」と連絡がある。

いいですよー、ということで商談当日。

営業担当が連れてきた新人の中に、前年にサイレント内定辞退した人が。

本人は僕の顔を見るなり真っ青に。

先輩である営業担当が不審さに気づき、追って確認が入りサイレントの事実が発覚。

彼は法人営業を希望していたが、内勤の事務職に異動となった。

(外でクライアントを担当させられない人と判断された)

 

このほかにも異業種交流会で遭遇したことなんかもあります。

その時は軽い気持ちかもしれませんが、

あとから大きなツケになって返ってくる可能性があるということです。

 

どんな会社に入ったとしても、

社会で仕事をしていく上で絶対に大事にしたほうがいいことがあります。

 

それは

【人との繋がり《ご縁》・恩義を大切にする】

ということです

 

ご縁をふいにする人は、仮にどんなに仕事が出来ても成功しません。

苦しい時や助けが必要になった時に誰も助けてくれないでしょう。 

最低限のマナーや約束を守ること、ご縁を大切することだけは忘れない方がよいかと。

 

本性は窮地にこそ表れる

内定辞退の仕方でその人の社会人スタートが大きく左右されるという話をしてきましたが、人事という仕事をしていて強く感じることがあります。

 

それは

『人間の本性は窮地の時にこそ表れる』

ということです。

 

選考での面接で「御社しか私にはありません!」と泣いて(アピールして?)いた就活生が数日後に「他決まったので選考辞退しまーす」と言ってくるのは日常茶飯事。

 

他には例えばこんなことも

●「自分が仕事やりたいから残業させて下さい!」と言っていた人が、辞めたくなったとたんに「会社に無理やり働かされた!」と言いふらしていた

●普段「俺がみんなを守るから!」と言っていた上司が、部署目標が達成できず、幹部会議で詰められるとその理由として「部下の怠慢と能力不足」を力説していた

●上司に「先輩のコミュニケーションが濃すぎてうざい」と訴え、先輩からの教育を避けていた子が、結果成長できずに同期に後れをとると「先輩に放置されて教えてもらえなかったからです」と会社に直訴する

などなど、ピンチになると途端に保身に走る人はよくいます。

 

僕が採用選考をしていてよく見極めようとしているところのポイントに

【窮地に陥った時にどういう言動をする人か・精神的な成熟度はどうか】

があります。

 

なぜなら、会社でも仕事でも良い時があれば悪い時もあります。

良い時にやる気を持って仕事ができるのは当たり前であって、会社にとって重要なのは、会社の状況が良くない時や仕事が上手くいかない時でもモチベーションを保って仕事を進められるかどうか、そこにその人の人間性・ポテンシャルの真価が表れるからです。

 

経営者が欲している人材像とは、

表面的ではなく、価値観が本質的でしっかりとした芯がある人ということですね。

 

よく面接手法で問題となる《圧迫面接》ですが、意図としてはこの点を見るためなのだろうと思います。個人的には圧迫面接のような直接的な手法じゃないと見極められないという人事は腕がない人と思いますが。

 

ちなみに、仕事だけじゃなくて、

皆さんプライベートでもこんな人に会ったことありませんか?

●あんなにラブラブだったのに、別れる時には別人かのように態度が豹変

●すごい良い人だと思っていた人が匿名SNSで毒吐きまくり

●モノをおねだりされているときは何度も連絡来るのに買ってもらったら既読スルー

などなど

 

良い時ではなく、ピンチの時にこそ、人間の本性が表れる。

 

その人のことを本当に信頼するかどうか、

『危機的状況』での対応を見てから判断した方が無難と言えそうですね。

 

それでは今回はこの辺で。

Thank you for your time!